環境ホルモンとは、「外因性内分泌かく乱化学物質」と呼ばれる生物の正常なホルモン作用に影響を与える化学物質のことを言います。 口や鼻、肌などから生体内に入った場合、天然のホルモンの作用を邪魔して、非常に微量でも生体の機能に悪影響を及ぼしているのではないかと指摘されています。
環境ホルモンという言葉が、日本で使われるようになったのは2年ほど前からですが、欧米では5年前から研究体制が敷かれています。
- 食器や塗料、農薬などを通じてごく微量でも体内に入ると、ホルモンに障害を与え、問題を起こすと騒がれています。 人間では精子数の減少、野生動物では雄の雌化、雌の雄化など、生殖にかかわる機能の変異について、危機感が高まっています。
- PPB(十億分の一)レベルのごく微量で、環境ホルモンが体内でどんなふる舞いをするのか、体内のどこにどれだけ蓄積されるのか、ルートや作用について詳細に解明されている環境ホルモンはまだわずかです。 環境ホルモンが生物にどのような悪影響を与えるのか、まだ定まった知見はありません。
- 環境庁の研究班は平成9年7月、環境ホルモンの疑いのある物質として67種類をリストアップしました。 発生源や使用形態に応じて、三つのグループに大別できます。
第一のグループ:
人間が目的をもって作っているわけではない、「非意図的生成物」。
ダイオキシン;有機塩素化合物で、75種類のポリ塩化ジベンゾ-パラ-ダイオキシン(PPCDs)と135種類のポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)の総称。廃棄物の燃焼過程で生成されるとして問題になっています。
コブラナーPCB;PCBsの異性体のうち、オルト位に塩素置換がないPCBsと1個塩素置換したPCBsをいう。ダイオキシンと類似しています。 など。
第二のグループ:
先進国ではすでに規制されている物質。
PCB;ポリ塩化ビフェニール。優れた電気絶縁体、プラスチックの原料ともされました。現在では生産されていません。
DDT;有機塩素系殺虫剤の中で最もよく知られたものでは
有機スズ;有機スズ化合物のトリプチルスズ、トリフェニルスズは、船底防汚塗料、漁網防汚剤として使用されています。 など。
第三のグループ:
工業製品として幅広く使われる物質群。
ビスフェノールA;ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂の原料。
アルキルフェノール類;フェノール樹脂、界面活性剤などに使用されています。
フタル酸ジエチルヘキシル;プラスチックの可塑剤。 など。